風景と速度

@takusan_neyoの日記

秋冬

もうすっかり寒くなってしまった。

憎んでいたけど忘れかけていたひとがこの1ヶ月で存在感を増してきて、わたしはそのひとのことを今、しっかり憎むことができている。

憎しみがディテールをもってくっきりとわたしの中に震えている。

 

 

昨日は布団にもぐって堀江敏幸の散文集『回送電車』を読んだ。この本を読んでるといろんな人や本の名前が次から次へと出てくるので、すこし頭が良くなったような気分になる。

仕事をしていると頭が良くなりたいなと思う機会がありすぎる。何かを生み出すというのはとても難しいことで、先人の知恵を頼るしかないのだが、先人の知恵が「結果」としてしか現れていない場合、その人の思考回路をたどる作業が必要になる。(他人の作ったエクセルとかプログラムを流用していじる、みたいなことを想像してもらうとわかりやすいかもしれない。)これがなかなかに途方もない作業なのだけれど、断片的な思考の記録などをてがかりにして全体像を把握していくのは地道で楽しくもある。

 

 

最近なにしてるの?と聞かれたら、なんと答えるのが正解なのだろう。仕事?生活?人生?

感情と時間で忙しくしている間に朝がきて夜がくる。目を閉じているときも開いているときも、ほんとうのことがすぐそばにあるはずなのに手が届かない。

 

 

わたしが憎しみにかられて、つらい、とおもっていたときに、憎しみを共有していたかとおもっていたひとから「あなたを責めるつもりはないがわたしだってつらい思いをしている、他人のことも考えてくれ」と言われて、わたしはすこし泣いてしまった。

悪意のなさと悪意の剥き出しはこのようにして共存できるのだと知ったし、やはり他人に期待や信用を寄せるのは恐ろしいことだと再確認できた。

 

 

最近の漫画だと違国日記がとてもよかった。よい漫画を読むとあーって声が出てしまう。