風景と速度

@takusan_neyoの日記

複雑さ

白い扇風機が回るのを見ている。扇風機はふたつの回転軸を持っていて、扇風機の顔から見た方向の軸においては、同じ回転方向と回転速度を保っているのに対して、地平に対して垂直に伸びる身体を軸として、加速と原則を繰り返しながら首を振っている。2軸の回転運動によって、羽根はすこし複雑な軌道を描くことになる。

複雑さは単純さの積み重ねでできていくということを、機械を見ていると思う。機械の場合は、複雑さを解体していくことで単純さが得られるとも言える。単純なものは美しいが、単純さが織りなす複雑さ(たとえばフラクタル構造)もまた別の美しさがある。

眠りから覚めてテーブルのそばの椅子にすわるまでの思考や意思はとても複雑に流れていく。そのひとつひとつは「起きたくない」「夢の中で追いかけていたあの子は誰なのか」「牛乳飲みたい」など単純なものだが、混沌と冴えのないまぜになった時間のなかでそれらは断続的な思考となって、複雑系を形成する。

よくよく見ていくといろんなものが複雑であることに気づく。キャップ式の缶コーヒーのラベルは、円筒形状から径が小さくなっていく側面へと成分表示がまたがっていて、斜め部分では文字が歪んでいる。

わたしは今日比較的元気な方だけれど、人から電話がかかってきて元気がなくなったような素振りになった。これは自分の時間を自分のために使うことを邪魔されたくないからそうなってしまったのだろうけど、元気さと元気じゃなさが矛盾なく共存するわたしのこころもなかなかめんどうくさいなとおもう。